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コンパクトかつ多機能なトラベル三脚 Peak Design「Travel Tripod」購入レビュー §2 開封・立て方編

ピークデザイン

自分にとって初めての三脚となるピークデザイン「Travel Tripod」。
前回のKickstarterでの購入手続きから日が空いてしまいましたが、今回はいよいよ三脚を開封していきます。


Kickstarterでの購入ということで、三脚は海外(今回は香港)から直接指定した住所へ送られてきます。
海外からの荷物ということで、既にクレジットカードで決済した三脚代金とは別に受け取り時に関税として2,100円をその場で支払いました


受け取ってすぐに三脚が入ってる割にはダンボール箱が小さいなと感じたのですが、開けてみると三脚の箱はもっとコンパクトでした。

それと自分はオプション品として「ウルトラライトコンバーションキット」を購入しています。
こちらは後日改めてレビュー予定です。


三脚の外箱にはイメージ画像や基本スペックが描かれています。
フィルムを剥がして開封します。


名称がそのまんまの「Travel Tripod」。
確かに和訳すると「旅行の三脚」となりますが、ここは「トラベル三脚」で構わないかと…。

当ブログでは引き続き「Travel Tripod」と呼称します。


外箱を開けると三脚ケースが出てきます。


三脚ケースの取っ手部分にピークデザインステッカーと乾燥剤(シリカゲル)が挟まれていました。


ケースのファスナーは、ピークデザインのバッグなどにも見られた止水性のあるものが採用されています


三脚はケースにピッタリ収納されています。
スペースに余裕がないため、三脚はきちんと収納した状態にしておかないとこのケースには入りません


ケースはやや厚みのあるしっかりした素材ですが、折り畳むくらいの柔軟性はあります。


残念なのは、上半分までしかファスナーが開かないために三脚の石突部分が汚れたままこのケースに収納してしまうとケース底を拭き取るのが容易ではありません。
汚れたまま使用し続けるか、毎回石突を綺麗にしてから収納するしかないのは不便です。


三脚を取り出すと、ストラップ穴の箇所に説明書が巻かれていました。


収納時の高さは38.5cm
トラベル三脚としては標準的な長さでしょう。

ちなみに収納時でも自立します。


「Travel Tripod」で最も特徴的なのが脚の形状です。

一般的な三脚はセンターポールを含めた4本のポールが円形のため隙間ができる構造なのですが、「Travel Tripod」はセンターポールを三角形にして脚の部分がそれを覆うような六角形となっています。
これによって収納時の太さが今までにないほどスリムな三脚に仕上がっています。


持ってみると改めてそのスリムさに感動します。

しかしながら重量は自分が購入したカーボンファイバー製だと1.29kgとなっているので、特別軽いというわけではありません。
もう一方のアルミ製は1.56kgとなっています。


カーボンファイバー製はアルミ製よりも高価で「Travel Tripod」では150ドルの価格差があるのですが、重量が軽いのに加えて、20%安定性が増し、またアルミほど熱が伝わらないため寒い時期に持っていても冷たさが緩和されるといったメリットがあります。


「Travel Tripod」は素早くセッティングできるのも”売り”にしていますので、順を追って確認していきましょう。

まず、一般的なトラベル三脚の場合、収納時の高さを短くするために脚の部分を180度回転させる形状のものが多くありますが、「Travel Tripod」はこれを採用していません。
この点もセッティングに要する時間短縮の一因となります。

一般的なトラベル三脚の構造


そういうわけで、最初は脚を伸ばすためのロック解除から始めます。

個人の好みによって評価が分かれると思いますが、脚は円形でないこともあってナット式ではなくレバー式が採用されています。
各脚にある4つのレバーは4本の指を使って一気に起こすことが可能になっています。
この点はナット式ではできない芸当ですね。

ただし、自分は手が小さいからなのか小指の力が弱いのか、瞬時に一度でレバーを持ち上げることが難しく、2回に分けています(汗)

これを3本分繰り返して全てのレバーを上げたら三脚を伸ばします。
手で引っ張っても構いませんし、下に向ければ自然と伸びます。


次は再びレバーのロックをかけていくわけですが、その際は三脚を包むような感じで握っていくと3本まとめてロックができます

しかし、こちらも脚が太い箇所はその方法でできるものの、石突に近い細い部分はなかなか上手くいかず結局1つずつロックしています。


ロックをかけて脚を開けば三脚の設置が完了。

5段ある三脚を全て伸ばした状態の高さは131cmになり、さらにセンターポールを伸ばすことで最大153cmまで高くなります。

センターポールの柱の形状は円形ではなく三角形になっており、一般的な三脚よりも細いです。
そういうこともあってか、この箇所は強度を確保するためにカーボンファイバー製でもアルミが採用されています。


続いてカメラもセッティングします。

カメラ台の部分にある水準器は、液色が無色なので見づらいのと、カメラを置くとレンズで見えなくなってしまうので、無いよりはマシって程度でしょうか。


「スタンダードプレート」を付けておいたカメラをカメラ台に乗せたら、ロックするためのリングを回してセッティングが完了です。
ネジを締めたりレバーでロックする一般的な三脚と比べてとても手軽に取り付けができます

乗せられるカメラの耐荷重は9.1kg
自分の利用範囲では十分なスペックです。

カメラを置いたらレバーを横に回すだけ


スタンダードプレートはこの「Travel Tripod」にも1つ付属しています。

自分は既に1つ持っているのですが、見比べると「Travel Tripod」に付属の方は、アンカーを通すための穴が少し大きかったり、ネジの頭が出っ張らないように窪みが設けられているマイナー改良版でした

もちろん従来のスタンダードプレートでも三脚に装着可能です。

右側が「Travel Tripod」付属のプレート


カメラ台の部分はアルカスイス互換の形状となっています。
なのでL型ブラケットなどもアルカスイス互換であれば直接装着できるものもあるはずです
全てのアルカスイス互換製品を保証するものではないのでご注意ください。)

その際はカメラ台の左右にある突起を六角レンチで取り外すことになります。
この突起、なぜあるのか疑問だったのですが、どうやら縦位置にした時に万が一スタンダードプレートが抜け落ちることのないようにするためのストッパーだそうです。


また、同じくピークデザイン製品の「デュアルプレート」をこの台座で使用する際は横向きでしか装着できません

この状態だとカメラは左右を向くことになります


「デュアルプレート」はアルカスイスに加え、マンフロット三脚で採用されているRC2規格にも対応したプレートです。

数年前、まだピークデザインから三脚が発売されるなんて思ってなかった自分は、マンフロット三脚を買おうと思ってあらかじめプレートだけ買っていました。


三脚の向きやカメラに付けるデュアルプレートの向きを変えておけば使えなくもありませんが、スタンダードプレートは正方形になって4方向どの向きでも装着が可能です。
マンフロット三脚と併用しないのであればここは素直にスタンダードプレートを使った方が便利だと思います。


縦位置での撮影などでカメラ台を傾けたい場合、「Travel Tripod」は必ずセンターポールを伸ばさなければいけません
この辺の手間も加えると素早いセッティングのアドバンテージは少し薄れてしまうかもしれませんね。

センターポールを伸ばすためのネジはそのままでも回せますが、引っ張って回しやすくすることもできます

つまみ部分を引っ張った状態


センターポールを少し伸ばして再度ネジで固定したら、次にカメラ台にあるリングを回すと角度の調節ができるようになります。
リングを回す方向は、すぐ上にあるカメラロックのリングと同じ向きで、時計回りで締まるようになっています。
初めは戸惑いましたが、カメラロックの方にはマークがあるのでそれを目印にすれば間違うことはないでしょう


雲台部分は「自由雲台”風”」です。
ボールの上にカメラ台があって自由に角度を変えられるのは自由雲台と同じなのですが、「Travel Tripod」はボールに直接カメラ台が乗っている構造になっており、3ヶ所の”爪”で固定されています。

そのため、縦位置で撮影する場合は左に倒せば問題ありませんが、右に倒すことはできません
左にしか倒せないのは他社製の自由雲台でもよくある仕様ですが、「Travel Tripod」は左に倒した状態での可動角度にも制限が発生してしまいます。


ですので、あくまで自由雲台”風”な独自の形状となっています。

先述の通り、スタンダードプレートは4方向で装着が可能なので、雲台での角度制限はカメラの取り付け方向でカバーすることになると思います

可動域には制限があります


センターポール下部にはフックがあり、バッグなどを吊るしておくと重心が下がって三脚がより安定するようになります。


このフックは工具を使わずひねるだけで取り外すことができます
そしてフックを外すとセンターポールの中にはスマートフォン用のホルダーが収納されています。


スマートフォン用ホルダーはどうやらマグネットで固定されているみたいで、フックを外しても勝手に落ちることはありません。
ホルダーは簡単な組み立て式になっています。


ホルダーはバネにより、幅が約6cmから10cmの範囲で伸び縮みします。

これほどの三脚でスマートフォン撮影するかは分かりませんが、邪魔にならないところに収納されているわけですから、いざという時に活躍してくれるかもしれません


脚の角度は2段階で切り替えることが可能です。
大きく開く場合はレバーを押しながら広げます。


脚を大きく開くと14.2cmのローアングルで撮影ができます。


ローアングル撮影では、センターポールからカメラ台の部分だけを取り外します。

雲台のボール部分にネジ穴があって、六角レンチで取り外しができます。


六角レンチは「Travel Tripod」にも付属されており、三脚の脚部分にあるアタッチメントに収納されています。
ちなみにこのアタッチメントも取り外しが可能です。


「Travel Tripod」付属の六角レンチは、これまでのピークデザイン製品に付属されていたものとは形状が異なります。
スライドするとL字型になり、2サイズに対応した六角レンチとして使えます。

基本的には太い方を使うことになります(これまでのピークデザイン製品に付属の六角レンチもこのサイズです)が、先ほどカメラのセッティングで触れたカメラ台の左右にあるストッパーは小さい方を使うことになります。

L字型となることで取っ手部分も広く確保できるのでなかなか使い勝手は良いと思います。


以上、「Travel Tripod」の開封から立て方までを確認していきました。

収納時のスリムさやセッティングの素早さは、他社の三脚と比べて魅力的な点だと思います。


一方で、トラベル三脚の部類なので撮影時のブレの少なさは本格的な三脚に劣ると思います。
特に「Travel Tripod」は段数が5段と多めになっていますし、脚の形状も円形ではない独自のものが採用されているので安定性については未知数な部分があります

とりあえず自宅のベランダから夜景撮影した限りではブレはなかったのである程度はカバーできていると思いますが、あくまで気軽・手軽に使えることを重視している三脚のように思うので、本格的な三脚として使うには難しいかもしれません


また、なるべく安価に三脚を手に入れたい場合も「Travel Tripod」は不向きかもしれません。
まだ正式販売はされておらず、日本国内の店舗で購入する場合は代理店が通る関係で多少価格が上がるので正確な金額は不明ですが、ピークデザイン公式サイトから直入してもアルミ製で4万円弱、カーボンファイバー製は6万円強となっています。


ですので「Travel Tripod」は、コンパクトに持ち運べてスピーディーに組み立てられる三脚を求めている方や、新しいもの好きな方に向いている三脚かなと感じました。

加えて、ピークデザイン製品を多くお持ちの方には、その親和性の高さから特にオススメです。
長くなってしまったので今回はここまでにして、次回でご紹介させていただきます。

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