左右独立型イヤホン「AirPods」を入手したのが約2年前のことでした。
当時はiPad ProやApple Pencilを買った勢いで購入したわけなのですが、実際に使ってみるととても便利ですっかり日々の生活に欠かせないほどになっています。
ただ、フックがないので不意に外れてしまわないか気にしたり、見た目は”耳からうどん”と揶揄されるようにあまり良いものではなかったりと、わずかながら不満も持っていました。
そんな不満を解消してくれるのではと思わせてくれる製品が今回レビューする「Powerbeats Pro」です。
4色展開の内、まず「ブラック」のみが7月下旬から先行販売されている状況でしたが、8月30日に残りの3色もようやく販売開始となりました。
差し色が一切ない真っ黒なブラックもカッコイイのですが、Beats製品のトレードマークとも言える”b”のロゴが見えやすいネイビーが欲しくてこれまで待っていました。
Apple製品との連携といったAirPodsの便利なところはそのままに、物理ボタン搭載による操作性やイヤーフックによる着け心地の安定、そして音質と様々な面で向上が図られた製品です。
ただし、コンパクトさはAirPodsに軍配が上がりますし、もっと音質を追求される方は他社メーカー製品の方が向いているかもしれません。
「Powerbeats Pro」はその名の通りBeats Electronics社の製品ですが、購入したヨドバシでは「Apple純正品扱いとなり、開封後の返品・交換はできません」と言われAppleのサポート電話の案内用紙を渡されました。
Beats Electronicsは今やAppleの傘下になっていますし、後で詳しく触れますがAppleが開発したH1チップを搭載するなどApple製品と親和性が高いので、確かにApple純正品と言っても差し障りがないと思います。
ただし、ヨドバシでApple製品を買うとポイント還元は1〜5%が相場なのですが、Powerbeats Proは通常通り10%のポイントが付きました。
パッケージ裏面を見ると、Apple製品との互換性が認められた製品の証である「Made for」のラベルと共に、一応Androidロゴのドロイド君も並んでいますw
さて、まずは本製品を開封していきましょう。
パッケージは黒を基調としており、外箱に写っているイヤホン本体は各カラーに合わせられています。
外箱を上にスライドさせると中箱が現れます。
ここからは”ぬいもーず”たちもお手伝いしてくれますw
その中箱を開けると充電ケースが出てきます。
充電ケースは各カラー共にブラックで共通みたいです。
その下には付属品として、Lightningケーブルとイヤーチップが入っています。
LightningケーブルはUSB側の端子がUSB-Aで、Apple製品の中では珍しい真っ黒なケーブルです。
それら付属品の台紙の中に取説類やBeatsロゴステッカーが入っています。
取説の用紙はジャバラ状になっていて、日本語含め8ヶ国語で書かれています。
ペアリングや操作方法が載っているのですが、あまりにも簡単にまとめられ過ぎていて、例えば”b”ロゴ部分のマルチ機能ボタンはダブルクリックで曲送り、トリプルクリックで曲戻りといったことには触れておらず、単に「曲の操作や通話ができる」程度しか紹介されていません。
まぁ自分もそうなのですが、使い方が分からない時はまずネットで調べるので紙の取説はこのくらいでも構わないのかもしれませんね。
Lightningケーブルとイヤーチップを台紙から取ると何やらメッセージを発見。
Powerbeats Proはケースに5分充電するだけで90分の音楽再生ができる「Fast Fuel」機能が搭載されており、その案内でした。
イヤーチップは最初からイヤホン本体に装着されているものに加えて、サイズが大きいものと小さいもの、それにダブルフランジと呼ばれる2段に重なったようなタイプの計4種類が同梱されています。
ダブルフランジはより耳の奥にまで入るのでしっかりフィットさせられるそうです。
さて、続いては充電ケースを見てみましょう。
本体自体がAirPodsよりも大きいため、その分ケースも大きくなります。
ただ、持ってみるとそこまでの重量感はなかったです。
充電に関しては、最近のBeats製イヤホン/ヘッドホンではMicroUSB端子が採用されていましたが、Powerbeats ProではLightning端子を採用しています。
USB-C端子ではないあたりもApple製品って感じがしますね。
手前側にはLEDインジケータランプがあります。
バッテリー残量やペアリング状態などに応じて白または赤に光ります。
ケースを開けるとイヤホン本体がお目見え。
ケースの内側に書かれた注意書きは簡単に剥がすことができます。
上側に小さく書かれている文字をよく見てみると「Apple.Inc」の文字に続きAppleの住所が。
やっぱりApple製品でしたw
それではまずはiPhoneとペアリングします。
方法はとても簡単で、あらかじめiPhoneのBluetoothをオンにしておけばPowerbeats Proのケースを開いた段階でもうiPhone側に検出の画面が表示されるので”接続”をタップすれば完了です。
ケースの内側にはペアリング用のボタンが搭載されているので、こちらから接続することも可能です。
自分の場合はiPhoneの他にiMacやiPadも接続する必要があったのですが、iCloudで情報が同期されたみたいで、iPhoneでペアリングした段階でそれらにはすでに機器登録がされていました。
AirPodsにしろPowerbeats Proにしろ、その真価が発揮されるのはiPhoneやその他Apple製品と接続してこそだと思います。
イヤーフックの部分はある程度曲がるくらい柔らかいです。
こちらがPowerbeats Pro本体。
Beats製品のトレードマークとも言える”b”のロゴ部分は、先ほども触れた通り左右共に物理ボタンになっています。
AirPodsはタップで操作していましたが、Powerbeats Proではこのマルチ機能ボタンで通話応答や曲操作をします。
物理ボタンというのは故障するというリスクは一応ありますが、押したという感触があるため操作性はAirPodsよりも良いと思います。
一方で、AirPodsは左右のダブルタップをそれぞれ別の機能に割り当てることも可能でしたが、Powerbeats Proにはそういった設定は見当たりませんでした。
そして音量の+/−ボタンが搭載されているのもAirPodsと比較した際の大きなトピックスです。
AirPodsでの音量調節はSiriを使うなどあまり使い勝手の良いものではありませんでした。
AirPodsでもApple Watchがあれば音量調節はできるのですが、大抵その場合は片方の腕に巻いたApple Watchをもう片方の手で操作することになります。
Powerbeats Proであれば左右どちらでも片方の手だけで操作が可能ですし、室内ではApple Watchを外している時もあるので、自分は状況に合わせて使い分けています。
実際に装着してみました。
締め付けられる感じはせずに着け心地は良好ですし、見た目も悪くありません。
AirPodsは頭を振ったくらいでは外れませんが、例えばマスクを着けようとしたりして意図せず触れることで落としてしまいそうになったことがありました。
Powerbeats Proはカナル型に加えイヤーフックもあるので、勝手に落ちることはまずないでしょう。
ただし自分の場合、カナル型のイヤホンはずっと着け続けていると痛く感じてしまいます。
イヤーチップを変えるなど工夫をすれば軽減されるのかもしれませんが、長時間の使用にはAirPodsの方が耳への負担は少なかったです。
また、Powerbeats Proはその形状ゆえに初めは装着方法に戸惑うかもしれません。
自分の場合は、まず手前からフックを耳にかけて、そこから耳の形に合わせて奥へ捻るように動かしてイヤーチップを耳の穴の位置へ来るようにという着け方をしています。
これでも少し時間はかかるので、サッと取り出して着けられるのもAirPodsの方が優れています。
イヤーフックがあるので、メガネをした状態だとどんな感じかも確認してみました。
結果、イヤーフックはメガネのフレームよりも外側を通るので特に不快感なく使用できました。
ケースに戻す際はそれぞれの充電接点を合わせるように収納します。
これも最初はややこしいように見えるかもしれませんが、イヤホンの左右さえ間違わなければ意外と簡単です。
大体こんな感じかなとケースに近付けます。
するとマグネットの力でピタッと付くので、あとはケースが閉められるように少し位置を調整するくらいです。
マグネットで固定されますので、ケースを逆さまにしてもイヤホンが落ちることはありません。
自分も持っている初代AirPodsにはW1チップというものが搭載されており、Powerbeats Proや第2世代のAirPodsではH1チップへと変更されました。
W1チップよりも接続機器の切り替えがスムーズだそうで自分も試してみましたところ、瞬時とまではいかないもののAirPodsよりも早く接続できました。
今までは気にならなかったのに再びAirPodsから接続した時は待たされている感じがしてしまうので慣れって恐ろしいですw
他には遅延も軽減されているそうなのですが、自分の体感としてはそもそもAirPodsでも遅延を気にするような場面がなかったので、言われてみればそうかなといった程度の違いでした(汗)
接続の安定性については、人が多いところだとノイズが入って不安定になることもたまにはありましたが、この点はAirPods共に基本的には良好です。
ちなみにiOSのウィジェット画面にバッテリー残量が表示されるのもW1チップやH1チップ搭載の恩恵の1つで、AirPodsの頃から重宝しています。
AirPodsとも並べて比較してみます。
充電ケースを並べてみると、その大きさは一目瞭然の差です。
AirPodsのケースは胸ポケットに入れていたのですが、Powerbeats Proのケースはカバンに入れるなど別に管理する必要がありそうです。
Powerbeats Proはランニングなどのワークアウト向けな製品ですが、その時ケースはどうするのか気になるところではあります…。
イヤホン本体もイヤーフックがあったりするのでAirPodsよりも存在感があります。
大きいのでAirPodsよりかは紛失の恐れも減りそうなので、もしかするとランニング時にはイヤホンだけを持って行っても構わないのかもしれませんね。
音楽の連続再生時間はAirPodsの5時間に対してPowerbeats Proは9時間あるので、それだけイヤホン単体で使える時間も長くなります。
他に両者の差としては、第2世代のAirPodsからはケースがワイヤレス充電に対応となっています。
一方のPowerbeats Proは耐汗/防沫仕様となっており、汗や多少の雨なら気にせず使用ができます。
ワイヤレス充電は専用の機器が必要ですし、耐水性能の方が多くの人に恩恵があると思います。
価格はPowerbeats Proが2千円ほど高くなりますが、見た目や使い勝手、それに音質などを考えるとその価格差であればPowerbeats Proの方が満足度は高いのではないでしょうか。
しかしAirPodsもそのコンパクトさや取り外しの容易さなど優位点もあるので、しばらくはどちらも使っていこうと思います。
肝心の音質については、自分はそこまでこだわりがないのであまり参考にはならないかもしれませんが、AirPodsと聞き比べるとPowerbeats Proの方が音質が良いのを体感できました。
ただ、Powerbeats Proのイヤーチップを小さいタイプに付け替えたところ、低音が弱くなり全体的にシャカシャカした音質に下がりました。
耳にグッと押し込むとだいぶ軽減されたので、単に自分の耳に合っていないのでしょう。
ですので、この音質の良さが耳にしっかり装着するカナル型という形状のおかげなのかBeatsの技術力の成果なのかまでははっきりと認識できていません…。
また、先述の通りノイズキャンセリング機能は搭載されていないので周囲の音は多少なりとも聞こえることもあって、音質については決して悪くはないですが過度に期待をするのは禁物かもしれません。
まぁそもそも音質に強くこだわる人は無線タイプのイヤホンを選ばないかもしれませんが。
AirPodsもPowerbeats Proも2万円台後半の価格設定と、高級機にあたる相場です。
しかしながらノイズキャンセリングなど先進的な機能が搭載されているわけでもなく、音質も飛び抜けて優れているかというと世間のレビューを見てもそうではなさそうです(繰り返しになりますが決して悪いわけではありません)。
それでもAirPodsやPowerbeats Proを選ぶ理由としては、AppleやBeatsといったブランドだけでなく、Apple製品との相性の良さだと思っています。
音質だけでなく使い勝手でも感動が得られる、Powerbeats Proはそんな製品のように感じています。